田中紙管株式会社

次世代の紙管は”エコロジカル”

2016.7.4

企業

今回ご紹介する企業は、JR八尾駅から南へ徒歩15分ほど。紙管を製造されている「田中紙管株式会社」です。1911年に創業と100年以上の伝統ある老舗企業です。

さて、「紙管」を製造されているということですが、この文字からは何を造っているのかは想像しにくいですね。でも、皆さんも日常生活の中でお世話になっているあれです、あれ!

紙管写真

そう、サランラップやトイレットペーパーの芯です。この芯のことを紙管って呼ぶんです。実物を知って、紙の管って漢字を見ると想像しやすいですよね。田中紙管さんで製造されている紙管は、主に工業用で、その種類や大きさも様々。家でみるサランラップの芯だと、せいぜい直径は3~4cmぐらい。でも田中紙管さんでは、約15cm(6インチ)もある大きなものもあるそうです。紙管の使い方も、紙を巻くだけでなく、糸を巻いたり、フィルムを巻いたり、様々あるみたいです。

今回、お話を伺う中で、まず一番に驚いたのが、紙管が段ボール、新聞紙、雑誌などの古紙100%から造られているということです。これだけで、すでに環境に優しいと思いますが、田中紙管さんには、さらに驚きの製品がありました。その製品について、橋本さんと田中さんに詳しくお聞きしました。

「グリーン紙管」と言ってリサイクルが可能な環境により優しい製品です。開発のきっかけは、あるメーカー企業から、田中紙管さんの紙管を使って、欧米に製品を販売していたときに、

「使用済の紙管をリサイクルすることが米国で義務付けられたため、今の紙管では受け入れられてもらえない」

と苦情をいただいたことだそうです。紙管の原料は紙なので、一見するとリサイクルできるのでは?と思いますが、サイズ剤と呼ばれる水分が浸透するのを防ぐ薬品や接着剤(石油由来)を使用しているため、水に溶けにくく、リサイクルできないのが現状。しかし、そのサイズ剤の使用を無くしたり、接着剤を植物由来のでん粉原料としたものに変えることで、水に溶けやすい紙管の開発に成功。古紙100%から造られ、さらにリサイクル可能な紙管は、究極にエコな製品だと思いました。

 グリーン紙管を利用する企業にとっては、たくさんのメリットがあります。

・環境に配慮した企業としてのPRが可能

・紙管を紙資源として販売(今までの紙管は産業廃棄物として、処理に費用がかかる)

など。

さらにすごいのは、この「グリーン紙管の普及→紙管の再資源化」という理念に賛同する同業他社へは、グリーン紙管の製造技術を無償・無条件で提供しているということです。自社だけでなく、社会全体で環境に優しい取り組みを促進している点が、すごく勉強になりました。