株式会社 松ちゃん給食

「おいしい」を作る、届ける、守る

2017.9.23

企業

2017年に60周年を迎える歴史ある会社で、幼稚園・小学校・中学校の学校給食、企業の給食弁当などを製造されています。

「食べるもの」を取り扱う上で、「安心・安全」は絶対。2007年に食の安全の国際規格ISO22000も認証取得されています。その中でどのようなことが環境の取り組みにつながっているのかをお聞きしました。

久宝寺工場を訪問しました

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入口入ってすぐにあります。これは、工場屋上に設置されたソーラーシステムの稼働状況。わかりやすくイラストで表示されていました。

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お話いただいた小林社長

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まず給食弁当が作られていく様子を見ていきましょう。

「検収」:注文した材料が間違ってないか確認します。

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「下処理」:野菜の皮をむいたり、根っこを取り除いたりしています。

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「上処理」:水洗いしたり、野菜をサイズに合わせてカットしたりします。

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「調理」:焼いたり、煮たりと調理していきます。大なべ1つで1度に2,000人分もの料理が調理できます。

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これはご飯を炊いているところ。大きな容器で一気に炊き、その後、小さな容器に小分けします。

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これは出来上がった料理を急速に冷やす装置です。温かい状態だと菌が繁殖しやすいので、一気に冷やします。

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「盛り付け」:手際よく、キレイに素早く盛り付けていきます。

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はじめにも書いたように「安心・安全」は絶対ということもあり、工場内はとてもキレイで、様々な工夫がされています。

すいすい活動、いわゆる3S(整理・整頓・清潔)活動のことです。各職場間で実施していることを発表、共有し、働きやすい職場を実現するために取り組んでいます。「ムリ・ムダ・ムラ」を減らす、環境活動の基本になる取り組みですね。

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日々使用する備品など、決まった場所に整理されていました。備品がバラバラになっていると、それだけで不衛生になったり、それを探す時間がもったいないなど、色々なマイナス要素があります。

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廊下にはロボット掃除機が。常にキレイな状態を保っていました。

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松ちゃん給食さんでは、地球環境に対する取り組みも積極的にされています。

例えば、O-KES(大阪環境マネジメントシステム)の取得。これは、自分たちの活動がどれぐらい環境へ負荷をかけているかを管理したり、また、それを低減する仕組みづくりをする取り組みです。松ちゃん給食さんのように色々な取り組みが見える化されているのはとてもわかりやすいと思いました。ただ闇雲に取り組みをしていても意味がなく、現状を把握し、それを改善するためにはどうすれば良いかを追求する姿勢が大切だと感じました。

訪問した日は、ちょうど小学生親子も工場見学にきていました。そこで、小林社長が「食と環境」にまつわるお話をされていました。小学校などで残ったパンなどの残食を回収し、動物用の飼料を作っているそうです。それが京都のブランド豚の餌として利用され、また美味しい豚肉となって私たちが食べる。このような食環境のリサイクルができあがっているのは素敵ですね。

「フードロス」ってご存知ですか?簡単に言うと、人が食べるためにつくられた食料が、何らかの理由で失われたり捨てられたりすることです。現在、日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の1/3にあたる2,800万トン。このうち本来食べられた、いわゆるフードロスは約632万トン。この約半分は家庭によるものとされています。食品廃棄量が多くなれば、それだけ運搬も焼却処理もしなければなりませんので、地球温暖化の加速にもつながってしまいます。松ちゃん給食さんのような取り組みは素晴らしいですが、本来であれば地球温暖化の原因にもなるフードロスにならないように全部食べて残さないことが一番。リサイクルするのにもエネルギーが使われるので、それだけ環境にも負荷がかかっていることになります。

最後に一番印象に残ったのは「虫」がついた野菜について小林社長が話していたこと。

現代の風潮として見た目がキレイな野菜が好まれ、虫がついた野菜は嫌がられます。給食を作る上でも、虫がたくさんついている野菜は返品するそうです。でも虫がついている野菜は、必要以上の農薬が使われていないなど安心な野菜である証拠です。つまり環境にも負荷が少ない野菜であるということ。社会がこういうことにもう少し寛容になれば、安心・安全な野菜がもっと食べられるようになり、環境への負荷が少なくなっていきます。食と環境の関係性、実はすごく密接していると考えさせられました。