カネエム工業株式会社

パーツの未来をつくる

2016.6.20

企業

今回ご紹介する企業は、近鉄八尾駅から北へ徒歩15分ほど。八尾北高校のすぐ北隣りにあるジーンズボタンなどを製造されている企業「カネエム工業株式会社」。この企業は、1947年に創業、1961年からは八尾に本社と工場を構えておられる八尾市泉町の会社です。

カネエム工業さんでは、ジーンズボタンやハトメ、リベットなどを製造されています。

原料は、ほとんどが真鍮だそうです。

できあがったパーツを洗ったり、染色したり、ニスでコーティングしたり。

それぞれのパーツを組み合わせて、出来あがったボタンを、きちんと緩みなくとまるかチェック。

はい、できあがりです!

製造工程の見学の後、代表取締役社長の島田真輔さんに環境への取り組みを伺いました。

カネエム工業の門をくぐり、まず目につくのは大きなメタセコイヤの木について、「この木は弊社のシンボル的存在なんです。おそらく、八尾に移転してきたときからある木ですから。」とのこと。メタセコイヤの木から目線を下げて、周りを見てみると他にもたくさんの緑が植えられています。特に気になったのが、すだちの木。なんでも、先代が徳島出身だそうで、徳島から八尾へもって来たそうです。しかも、毎年この木になったすだちを従業員の方で分けて食べるそうです。駐輪場の横には、ゴーヤを植栽して「みどりのカーテン」も作っておられました。

また屋上に案内していただくと、そこにはなんと農園が!

なすびや玉ねぎなどが植えられています。元々は、先代の趣味として始まったそうですが、今では社員食堂でお昼に職員の方にも提供できるほど。屋上菜園は、見て、食べて楽しいことはもちろんですが、夏場は気温の上昇を抑え、冬場は保温効果を発揮し省エネにも役立ちます。

「こんなに緑の多い企業は珍しい!」と話しながら次は、工場の奥へ。すると、そこには、池がありました!井戸水をくみ上げ、ろ過した水で池を作っているそうです。中にはメダカなどの魚たちが。過去には、八尾のホタルをここで育てることも試みたそう。(まだ成功はしてないそうですが。)工場で利用されている水もこの井戸水を使用。ボタン製造の工程ではたくさんの水を使用するそうで、水道を使うとなると相当なコストがかかります。そこを、井戸水を利用することで環境負荷も低減しつつ、お財布にも優しく企業活動をされています。社長は、「地の利に恵まれて企業活動ができている。感謝しないといけない。」と語ります。そんな想いがあるからこそ、緑も多く、池まである会社になるのだなぁと感じます。

更に、ボタンの製造ラインを見学させていただくと、気になるところが…

ボタンを製造する際に、金属を切り抜いた後のスクラップ。恐る恐る、「これはこのまま捨ててしまうのですか?」と聞くと意外な答えが返ってきました。「原材料の50%~55%が商品になるんですが、ほとんどはスクラップになります。これは当たり前にリサイクルしてますよ。スクラップも分別することで大切な商品になるんです。いわば、お金と同じです。」工場の方にとっては当たり前のことなんだそうですが、驚きました。

こちらも当たり前にされていることだそうですが、工場内を徹底して整理整頓することで、無駄を減らしているそうです。3S(整理、整頓、清掃)や5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を意識することで、ロスを減らし、環境にも企業経営にも優しくなります。「当たり前」のことですが、家庭でも同じ意識を持つと無駄なお買いものも減り、ごみも減るかも知れません。驚いたのが、工場内で使用する様々な部品の一つ一つに、置き場所を決めていることはもちろんのこと、置き場にその部品の値段を明示しているそうです。自分が使用する部品の値段を知ることで、その大切さを実感し、無駄遣いを避けることを狙っているそうです。

それ以外にも工場内の一部の電灯はLEDに変えられているそう。震災以降、意識して徐々に交換を進めておられるそう。

今回の工場見学で、工場では「当たり前」に取り組まれている企業努力が、経営にとって良いだけではなく、環境にも優しいということを感じつつ、以外にも家庭の方ができていないかもと思うところがありました。工場の取組みに学び、家庭でもお財布にも優しく、環境にやさしい、そんな取組が少しずつ広がっていくといいですね!