柏原計器工業株式会社

安心・安全な水を支える

2017.5.20

企業

水道メーター等の製造・販売を行っている企業です。設立は1947年2月、今年で70年を迎える戦後復興を担ってきた伝統ある企業で、本社は大阪府柏原市、八尾市内に4つの工場があります。

 外観

3

こちらが水道メーター。

皆さんの家庭にも設置されていると思いますが、水道メーターがどういう役割を果たしているのか、じっくり考えたことってあまりないですよね。機能としては、簡単に言うと水道水の使用量を測ること。でも良く考えてみてください。そのメーターの中を通った水を私たちは毎日使用しています。安心・安全でないと困りますよね。

日本は、蛇口をひねると世界で一番「安心・安全」な水が飲める国です。メーターのボディから部品のすべてを自社での一貫生産(MADE IN JAPAN)にこだわっていることが何よりの証拠に、その当たり前を支えているのが柏原計器さんの水道メーターです。

1985年に世界で初めてマイコン内蔵電子式水道メーターを開発されました。まだインターネットが普及していない時代、電話回線を利用して検針ができる画期的なもので、今まで人が検針のために1軒1軒回っていたものが、遠隔でできるようになりました。省力化面での貢献はもちろん、人の移動(車などで)が減る=消費エネルギーも削減され、人にも環境にも優しい水道メーターです。

このように人や環境に優しい製品が生まれる理由を詳しく聞いてみました。

DSC_9104

お話いただいた三浦社長

普通の企業で何かものごとを考えるとき、利益やコスト削減を優先的に考えます。もちろん、このことは重要ですが、柏原計器さんでは、「環境」をテーマに新しいアイデアがないかを議論することがあるそうです。その理由を聞いたところ、

「環境は、入社1年目から年配の方、誰もが共通認識できるテーマであり、素直に議論に入っていける。また経験、年齢、性別、能力も違うダイバーシティ(※多様な人材を積極的に活用しようということ)の考え方にマッチしていて、その中でいいアイデアない?って議論したりする。それが結果としてコスト削減、CSRにつながっている。」

と話されていました。

事実、柏原計器さんでは海外からの実習生の受入、外部専門家との連携も積極的に行っていて、ダイバーシティという考え方が日常的にあるのだと思いました。そんな職場環境の効果もあり、社員からの提案も積極的です。近々、いつもお世話になっている大学の先生を勉強目的で訪ねよう、しかも、バスをレンタルして社員一同で!ということが決まったそうです。

さらに積極的なことが、鋳造工場内にある「未来工房」という部屋でも行われています。昔は、機械に使用しているネジやちょっとした不具合の修理をお願いできる職人さんがいましたが、高齢のためできなくなったそうです。であれば、自分たちでやろうということで、1つ1つ設備を揃え工房を作ってしまいました。はじめは、「社員の子ども(小・中学生)がヘルメットを被って夏休みの自由研究の工作課題などをする場所も兼ねて」みたいなことも考えてスタートしましたが、今では自分たちで使う機械そのものを作ることができるように!これには三浦社長も驚かれたそうです。

工場の仕様も最先端です。柏原計器さんは八尾市内に4つの工場を構えています。

・鋳造工場(水道メーターボディの製造)

・射出工場(プラスチック部品の成型)

・中子工場(鋳型の中にはめる型を作る工場)

・3R工場(一度使われた水道メーターを回収し、ボディだけ再利用する)

 

K004

K021

これらの工場がさらにすごいのは、IOT(モノがインターネットにつながり、相互制御できる仕組み)の技術を活かしたスマートファクトリー(つなぐ工場)だということ。昔は、各工場に事務担当がいましたが、今は本社一括で制御しているそうです。各工場に力が分散されるより、はるかにエネルギー効率が良く=省エネルギーにつながります。

 

DSC_9115

これは射出工場の風景。他の4つの工場も同様にLED照明を導入しています。LED照明の効果としては省エネルギーによる電力使用量の削減が思いつきますが、それ以上に工場内が明るくなったため、作業がより正確になり不良品が減ったという効果があったそうです。無駄なものを作らなくていい=さらに省エネルギーが進みました。

 

P8280029

また鋳造工場では作業の都合上、冷房がきかないため、建物全体を冷やすため屋上に断熱効果のあるルーフスクリーンを設置し、温度上昇を防いでいます。

「今は時代の流れが早いため、色々なことを勉強して少しでも追いつこうとする姿勢が大切。大手企業がやることは、うちも全部やる。大手企業も大変なのに、それができないとなると中小企業はもっと大変なことになる。海外に目を向けると、研究開発には日本の何百倍もの費用をかけている。日々、危機感を持ってやっていかないと。」

と、三浦社長から色々なことを聞きましたが、まさに「有言実行」だと思いました。

 

図1

水道メーターを通じてひとりひとりが自ら参加し、エコを実現するソリューション。柏原計器さんが考えるスマートシティ。これからの社会のあるべき姿ですね。