NPO法人 河内木綿藍染保存会

八尾の河内木綿を育て、伝承する

2017.11.27

団体

八尾では、江戸時代ごろ綿が栽培され河内木綿と呼ばれていました。当時は、かなりの規模で栽培され、歴史的な文書にも「久宝寺木綿」や「山根木綿」という記述が残っています。明治のころには、外国から、繊維が長く、安価な糸が大量に輸入され、工場での大量生産もあって、綿の生産は幕を下ろしたそうです。

そんな河内木綿を現代に復活させ、様々な形で私たちに伝えてくれる団体がNPO法人河内木綿藍染保存会です。

今回は、「夢のコットンロードin佐堂 わたの収穫祭」の開催に合わせて、メンバーの平野さんにお話を伺いました。
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河内木綿藍染保存会では、小学校での講座やイベントなどでの綿くり、糸つむぎ体験など、多岐に渡る活動を行っておられますが、今回取材を行ったのは河内木綿を実際に育てておられる現場です!

この場所は、中央環状線の横、近畿道の真下に位置する(佐堂東の交差点のところ)ので _DSC1179
綿の畑の横はトラックや乗用車など大量の車が行き交います。
まさか、こんな場所に河内木綿があったとは!驚きの立地です。

この場所は、「夢のコットンロードin佐堂」という場所で、北は鶴見緑地公園から南は久宝寺緑地につながる「中環の森」の一部で、中央環状線のこの公園の間をつなぐ長い区間は色んな木々が植えられているんです。空き地を有効に活用した緑化ですね。

河内木綿の畑では、たくさんの綿が収穫されていました。
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河内木綿の花も咲いていてとてもきれい! _DSC1164
ところで、秋の季語に「桃吹く」という言葉があることをご存知ですか?
この「桃吹く」という季語の意味は「綿吹く」ということで、綿がはじけている様子を言う言葉らしいのですが、なぜ桃なのか…。
この写真を見ていただくとピンとくるかもしれません!
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綿がはじける前の「蒴果(さくか)」という状態のものですが、桃に似ていますよね!
この状態から、「桃吹く」という言葉が出来たそうです。昔の人の感性はすごいですね~!

このお話を教えてくださったのは八尾市観光ボランティアガイドの会のみなさん。
5年ほど前から活動に参加して、一緒に畑を整備したりしていらっしゃるそうです。

また、以前にこのページで紹介させていただいた、NPO法人 自然環境会議八尾も実はここもフィールドのひとつとされているようです。
綿の収穫が終わったあと、冬場に菜の花を育ててらっしゃるそうで、その結果綿の連作障害も防げて良いとのこと。

色んな地域の団体の輪がつながっているんですね。

この場所で出た落ち葉や枝などは、ここでたい肥化して肥料として使っておられるそうです。
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通常だと燃えるごみなどで出してしまう落ち葉や枯れ枝などですが、こうしてたい肥化をすれば、燃やすこともなく、また土にかえります。
自宅でもコンポストを使って生ごみをたい肥化すると、ごみの量も減って、無駄に肥料を買わなくてもよくなり一石二鳥!燃やすごみが減るということは、二酸化炭素が減り、温暖化にもよい効果があります。八尾市では、生ごみコンポストの助成もあるので、ぜひ取り組んでみてください!

さて、少し話がそれましたが、収穫祭のこの日は、たくさんの地域の子どもたちが体験に訪れていました。
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 収穫した綿と種をわける「綿くり」を体験したり、種と分けた綿をほぐすための「わた弓」を体験したり、最後にはほぐした綿を糸にする「糸紡ぎ」の体験を行ったりと、綿を収穫して、糸にするという一連の流れをすべて体験できるようにされていました。
まずは、綿くり。綿と種を分けます。綿くり機を回すと、綿だけがきれいに出てきます。
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次に、わた弓。弓の糸の部分で綿をはじくと徐々に綿の繊維がほぐれてきます。 _DSC1217
ほぐした糸をくるくるっとまとめると「じんき」という筒状の状態になります。
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ここまでくるといよいよ糸紡ぎの作業に入ります。
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写真で見ると伝わりづらいですが、実際に体験してみるとどの作業も根気のいる作業で、なかなか難しい…。
昔ながらの「糸」は、実はこんなに手間がかかる作業を経てできているということを体験することで、きっと、「衣服も大切に着よう」という気持ちも育まれたのでは。
「もったいない」という考えを学ぶためには、手間をかけて作る経験をする、というのはとっても意味深く感じました。

終了後、参加者には、綿の種が配られました。「中環の森」のような大掛かりな緑化は難しくても、一人一人が家で緑を育てて、まちに少しでも生き物が増えれば、少しずつ環境も変わるかもしれない。

色んな角度から、河内木綿を通して活動をされているNPO法人 河内木綿藍染保存会さんにこれからも目が離せません!