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温暖化対策の新ルール「パリ協定」って何?

CO2実質ゼロを目指す世界の約束

2015年12月、フランスで開かれた国連会議COP21で、世界の約200カ国が合意して、世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることをめざす歴史的な「パリ協定」が出来ました。日本やヨーロッパはもちろん、アメリカも、中国も、サウジアラビアなどの多くの国がパリ協定に賛成しました。2016年11月4日、パリ協定は国際条約として発効し(効力を持つようになり)、「排出ゼロ」の未来へ大きな一歩を踏み出しました。

 

パリ協定の目標は気温上昇1.5℃未満

パリ協定の目標は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて「2℃よりはるかに低くすること、さらに1.5℃に抑える努力をすること(1.5〜2℃目標)」です。これまで国際社会は「2℃未満」をめざしていました。しかし、すでに、世界の平均気温は産業革命以前から約1℃上っており、温暖化の被害も広がっています。苦しんでいる人たちを救うため、世界は「1.5℃未満」をめざすことにしたのです。世界の科学者たちは、このまま何も対策をとらなければ、21世紀が終わる頃には4℃も気温が上がると警告しています。これ以上温暖化が進めば、一度失ってしまえば二度と取り戻すことのできなくなる生命、自然、文化を失うことになりかねません。

 

化石燃料の時代が終わる?!

石炭、石油、天然ガスといった化石燃料を燃やすと大量の二酸化炭素(CO₂)が出ます。CO₂は温暖化の最大の原因であり、CO2が増えると地球の気温は上がります。最新の研究によれば、「1.5℃未満」を達成するためには、2030年までに約45%減らし、2050年頃にはCO2排出を「実質ゼロ」にしないといけないと言われています。そのため化石燃料は、たとえ余っていても使えない時代になります。

 

パリ協定の進捗評価の仕組み

パリ協定のもと、「1.5℃未満」と「排出ゼロ」に向けて、各国は温室効果ガスの削減目標を引き上げ続け、対策を強化し続けることになりました。世界の温暖化対策の進み具合をチェックする会議を5年ごとに行い、各国の排出削減目標が十分か、対策が進んでいるか、お互いを厳しくチェックし合います。

 

日本の温室効果ガス実質ゼロ宣言

日本も2020年10月26日の第203回臨時国会の菅首相の所信表明演説で、「2050年に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを宣言しました。加えて、グリーン産業を育成することや、産業構造の転換を進めていくこと、そして、石炭火力に対する政策を大きく見直すこと、などの方針が示されました。これらの方針はパリ協定の目指す目標にもそったものであり、今後日本においても、脱炭素社会実現のために様々な取り組みが始まることが期待されます。

写真は全て:IISD(International Institute for Sustainable Development)Reporting Services より