NPO法人 ニッポンバラタナゴ高安研究会

八尾に生息する絶滅危惧種、ニッポンバラタナゴを守る。

2016.10.15

団体

八尾市には、絶滅危惧種ⅠA類に指定されている淡水魚ニッポンバラタナゴが生息しています。今回ご紹介する団体は、そんなニッポンバラタナゴの保全活動を長年継続している「NPO法人ニッポンバラタナゴ高安研究会」です。
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ニッポンバラタナゴは、かつては日本全国に生息していた淡水魚ですが、現在では八尾と九州、奈良の一部にしか生息をしておらず、八尾に最も多くの個体が生息しています。

この魚は、ドブガイと呼ばれる貝の中に卵を産みます。そしてそのドブガイは、幼生をヨシノボリという魚に寄生させます。つまり、ドブガイもヨシノボリも両方が生息できる環境でないと、ニッポンバラタナゴも生きていけないのです。
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今回お話を伺ったのは、ニッポンバラタナゴ高安研究会の代表 加納義彦さん。加納さんがニッポンバラタナゴの保全活動に取り組むきっかけは、1983年にさかのぼります。当時、高校の生物部の顧問をされていた加納さんが部の生徒と一緒に調査を始めたのがきっかけで、そこから、地元中学校の校長やPTAのメンバー、生物部のOBと一緒にNPOを立ち上げて現在まで保全活動を続けています。

当初は、ため池での保全活動がメインでしたが、ある年に雨が少なく、ため池が干上がってしまうことがありました。そこで、加納さんたちが考えたのは、「里山の保水力がなくなってしまうと、結果的にため池も干上がってしまい、ニッポンバラタナゴも絶滅してしまうのでは?」ということでした。DSC_1397
そこから、里山である高安山の森林整備活動がはじまります。水源地である高安山を整備することで、実際に沢の水の量が安定し、当時はいなかったサワガニが現れるようにまでに!

もちろん、引き続きため池の整備活動も実施していて、年に一度は、大阪経済法科大学のふれあい池にて「ドビ流し」と呼ばれる作業を行っています。ドビ流しとは、ため池の底樋(お風呂の栓のようなもの)を抜いて、ため池から水とため池の底にたまった泥を流す作業のこと。

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この作業を行うことで、ため池の水質が保たれ、ニッポンバラタナゴが生息できる環境になります。元々は、ドビ流しは農業のために行われていました。ため池から流される水や泥は、栄養が豊富でその栄養を田んぼに入れて、良質な作物を育てるために利用していました。
しかし、現在は農家も減り、ドビ流しをせずに化学肥料を使用する農業が増加。結果、ため池の水質も悪くなり、ニッポンバラタナゴが減少しているという背景があります。

ニッポンバラタナゴ高安研究会でもドビ流しを行っていますが、地域の農家の方々にもドビ流しをしていただけるように、ニッポンバラタナゴが生息するため池のきれいな水を使って育てたお米を「キンタイ米」と名付け、販売を行っています。「キンタイ米」が売れることによって、農家の方にとってもドビ流しを行うメリットが生まれ、ドビ流しが定着し、ニッポンバラタナゴの生息環境も守れるという形ができます。
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 これから先もずっと、ニッポンバラタナゴが生息できるような豊かな自然を高安に残していくためには、農業も含めた地域のライフスタイルの変化が必要だと加納さんは言います。
そのために、これからはエコツーリズムの推進や地場産業の復興などにも注力されるそうです。
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私たちも、森林整備活動に参加して八尾の自然を体感したり、キンタイ米を食べることで保全活動を応援したり、できることから自然環境保全を応援したいですね!